理事長からの挨拶

補綴歯科専門医制度の機構認定をステップに,
さらに先に進みます

窪木 拓男(くぼき たくお)
日本補綴歯科学会 理事長
岡山大学学術研究院医歯薬学域
インプラント再生補綴学分野 教授

 ご挨拶

2023年7月

日本補綴歯科学会は1933年(昭和8年)に設立され,今日まで,歯科の学会としては気が遠くなるほど長い歴史を擁し,ある意味,日本の歯科の歴史そのものを背負ってきたと言えるほどであります.私は,長く続く,優れた「組織」とは,建物や事務局が堅牢であるだけでなく,構成員の崇高な志(こころざし)が途切れることなく緊密に繋がった「祈り」の様なものだと思っています.90年もの間,リーダが睡眠時間を削りながら精一杯力を注ぎ,各々の構成員が渾身の力を込めてミッションを完遂して来たが故に継続できたこの組織は,我々の自信と栄誉の源であります.
歯科医師法は,第十七条の中で,「歯科医師でなければ,歯科医業をなしてはならない」と規定しています.この歯科医業においては,本学会が歯冠補綴や欠損補綴治療を通して中心的な役割をなしてきたことは疑うべくもありません.さらに近年では,補綴歯科治療により適切に維持された口腔機能は,栄養指導などとともに,認知機能の維持や生命予後の改善,さらには自立の喪失の抑制にまで影響を与えうることが明らかになり,歯科医業を越えた医業や健康科学にまで大きな影響を与えるようになりました.日本歯科医師会ならびに日本歯科専門医機構におかれましては,この点を重く認識して頂き,広告可能な専門医制度の一翼を担う「補綴歯科専門医制度」の構築に多大なるご尽力を頂いたこと,心より御礼を申し上げたいと思います.
日本補綴歯科学会は,この機構認定専門医制度を大切に充実させるだけでなく,患者様に新たなイノベーションを提供できる様,全員で努力します.また,この新たな技術が国民の皆さんに適切に提供されるよう,専門医を目指す若手会員に最新の知識,技術,態度の教育を提供していきます.このためには,関連企業の方々にもご支援を頂かなくてはなりません.
最後になりましたが,国民の皆様におかれましては,補綴歯科専門医制度が公式に日本歯科専門医機構により認定されたこと,また,皆様の地域におられる専門医の情報がこのウエブページを通じてタイムリーにお伝えできることをお知らせ致します.また,永きに渡る先達の努力により,患者様の状態に合わせて,高度な補綴歯科治療(かぶせ,ブリッジ,義歯,インプラント義歯,顎顔面義歯,はぎしり,睡眠時無呼吸症候群など)が,本専門医により確実かつ安全に提供させて頂けることをお伝えして,私のご挨拶とさせて頂きます.

文献

1) 窪木拓男:社会や医療に開かれた日本補綴歯科学会に向けて.日本補綴歯科学会誌 15(3):265-266, 2023.
2) 窪木拓男:補綴歯科専門医として社会と繋がる-補綴の価値のさらなる創出に向けて- 日本補綴歯科学会第132回学術大会-設立90周年記念大会- 理事長講演ビデオ

略歴

2023-現在:
日本補綴歯科学会 理事長
2023-現在:
岡山大学 副理事(研究基盤担当)
2023-現在:
岡山大学病院 歯科系代表副病院長(臨床・研究[歯科]担当)
2018-現在:
認知症と口腔機能研究会 会長
2018-現在:
岡山大学病院デンタルインプラントセンター センター長
2017-現在:
日本学術会議 連携会員
2016:
岡山大学副学長(研究力分析担当)
2012-2015:
岡山大学 歯学部長
2009-2011:
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 副研究科長
2007-2009:
岡山大学医学部・歯学部附属病院 副病院長(教育・研究担当)
2003-現在:
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 教授

 

理事長講演

「補綴歯科専門医として社会と繋がる―補綴の価値のさらなる創出に向けて―」

公益社団法人日本補綴歯科学会
第132回学術大会
-設立90周年記念大会-
2023年5月20日(土)
座長: 馬場 一美(昭和大)
講師: 窪木 拓男(岡山大)