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補綴治療における症状分類の導入について
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補綴治療における症状分類の導入について

医療問題検討委員会委員長 市川哲雄

 歯科臨床の目的を口腔機能の維持と回復とするならば,当然ながら,補綴診療がその最たる責務を担っていると本学会会員は自負しているはずです.しかし,患者と歯科医の間で,または歯科医間で,その機能回復が互いの共通の「物差し」で理解,納得した上でなされているのかは不明確であると思われます.診療報酬の中でも,残念ながら現在の「歯科点数表の解釈」本には「咀嚼機能検査については算定できない.」と記載されています.このような現状に対して,大山会長はこの「物差し」,つまり,『チェアサイドでできる咀嚼機能あるいは発語機能の検査・評価法の確立』を今期の重要な事項と位置づけられております.

 その一方で,一般の疾患,障害では,臓器の機能検査によって,診断,病態把握「症型(障害)分類」がなされ,それによって治療法,対応法が決まり,治療の経過,結果が観察されており,患者の納得のもとに治療が進められます.補綴治療のおいても,各歯科医がその欠損(障害)状態を把握して対応しているわけですが,明確に表記できる方法を持ち合わせていないと思われます.

 そこで医療問題検討委員会では,機能検査の診療報酬への導入,クリニカルパスの作成といった今期の事業計画を遂行するために,まず補綴治療における症型(障害)分類を作成し,この分類に必要な検査方法を挙げ,クリニカルパスを作成していく方が合理的であると考えました.さらには,「補綴にはエビデンスがない.」といわれるようなことも,欠損もしくは障害に対しての症型分類を行うことで,各検査法におけるエビデンスの構築も容易になると思われます.そして,客観的な検査結果から,症型を分類し,難易度を明確に評価することは,これまで曖昧であった補綴の専門性の重要度を増していくことにも寄与すると考えられます.

 補綴治療における症型分類の導入に向けての作業が認められ,現在,医療問題検討委員会を中心にその作業が進められております.このような作業の戦略としては,非の打ち所のない分類法を確立してから導入する方法もありますが,まず基本となるたたき台的なものを作成,導入し,試行しながらよりよいものにしていくスタンスをとりたいと考えております.ただ,予想されるように複雑多岐にわたる補綴治療を分類する作業は医療問題検討委員会を中心とする委員会作業だけでできるものではなく,全評議員,全会員の積極的な支持,積極的なご意見があってこそはじめて成し遂げられると思っております.会員の皆様のご理解とともに,忌憚のないご意見をお願い申し上げます.


講演スライド要旨症型分類1-1(形態的困難度)の診査用紙


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