よくわかる補綴歯科講座(第1回)

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よくわかる補綴歯科講座
第1回
第一大臼歯(6歳臼歯)を抜けたままにしておくと

第一大臼歯は6歳臼歯とも呼ばれ,歯並び(歯列)の中では中央の位置にあり,この部分では自分の体重とほぼ同じくらいの大きさの咬(か)む力(約60Kg)が発揮されることが知られています.このもっとも重要な歯がなくなるとどうなるのでしょうか.

現れる症状(図1)
  • 1. まず,かなり噛み砕く能力(咀嚼能率)が低下します.
  • 2. 時間が経つと,反対の歯(対合歯)が出てきます(挺出します)し,隣の歯が傾いてきます.
  • 3. そうすると
    • 1) 食べ物が詰まりやすくなり,歯周病が進行していきます.
    • 2) 歯が部分的に強くあたるようになり(早期接触,咬合干渉),咬合の異常が起こってきます.
図1

図1

対処法
  • 1. 全部鋳造冠ブリッジ(図2)
    • 1)長所:割れにくく,壊れにくい,経済的(保険診療でカバーされる)
    • 2)短所:見た目がよくない.歯をたくさん削る.
  • 2. 陶材焼付け鋳造冠ブリッジ
    • 1)長所:見た目がよい.
    • 2)短所:割れることがある.歯をかなりたくさん削る.高価.
  • 3. 接着ブリッジ(図3)
    • 1)長所:歯を削る量がかなり少なくて済む.
    • 2)短所:はずれやすいことがある.見た目もやや劣る
  • 4. インプラント義歯(図4,5)
    • 1)長所:歯を全く削らないで済む.見た目がよい.
    • 2)短所:手術に対するリスクがある.高価

などの多彩な対処法で上記の問題点の解消にあたりますが,それぞれに利点,欠点をありますので,十分に説明を聞かれて,早期に治療をされるといいでしょう.

図2

図2

図3

図3

図4

図4

図5

図5

ここで耳寄りな話:ミニマル・インタベンション(最小介入)
ミニマル・インタベンションとは最小介入とも訳すことができ,できるだけ最小の侵襲で治療を行うことで,内視鏡治療などがこれにあたります.歯科補綴の領域ではできるだけ歯を削らずに治療をすることがこれにあたるとされています.

上記の対処法のうち,最近開発されてきた接着(嵌合)ブリッジ(図3)やインプラント義歯(図4,5)は隣の歯をほとんどさわらないので,この治療法に属すいってよいと思われます.