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クラウンとは
歯根に金属の芯を挿し込んで人工の歯をつくる。
歯は歯ぐきの中にある根の部分(歯根)と口の中に出ている頭の部分(歯冠)に分けられます。皆さんがむし歯になり、歯がぼろぼろになったと気がつくのは、この歯冠が無くなるからです。歯冠がぼろぼろでも歯根がしっかりしていれば、クラウンによる治療が受けられます。
治療方法
歯には神経(歯ずいともいいます)が通っていますが、むし歯が神経まで達してしまい、歯冠がぼろぼろになった場合、その虫の食っている部分を削り取り、神経をとって薬でしっかり治療します。そのあとに、歯根の部分を利用して金 属などで土台を建てます。そして、その土台の上に金属やセラミックス(陶器)で作った人工の歯冠(冠)をかぶせます。つまり、根に金属の芯を挿し込んで歯を造るので、クラウンといわれるようになったのです(写真1)。むし歯が神経まで達していない場合は虫の食っている部分を削り、その上に直接冠をかぶせることになります。

むし歯が神経まで達した場合には、神経をとって薬でしっかり治療します(写真2)。神経の治療をした歯(レントゲン写真・写真3)のむし歯になった歯冠の部分を削り取り、金属やプラスチックの土台を付け(写真4)、形を整えてから、次に印象材という歯の型を取る材料を使い、型どりをします(写真5)。この型をもとに削った歯と同じ形の模型を作ります(写真6)。その上でセラミックス(陶器)やプラスチック、金属を用いて冠を作ります(写真7)。この冠を金属の土台にセメント(接着剤)で付けます(写真8)。

写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 写真6 写真7 写真8
※クリックすると拡大してご覧になれます。
クラウンの種類
金属冠
主に奥歯の場合に用いられる。金銀パラジウム合金(金パラ)や金合金、白金加金といった金属を鋳造して歯の形に修復する方法。金合金や白金加金などは保険の適用はできません。
前装冠
金属冠の表から見える部分に歯と同じ色の硬質レジン(プラスチック)やセラミックス(陶器)、ハイブリッド型レジン(プラスチックとセラミックスの複合材料)などをはり付けることで、金属冠よりも審美的な修復を行う方法。主に前歯に用いられるが、奥歯でも最近は頻繁に用いられるようになっています。セラミックスやハイブリッド型レジンは保険の適用外です。硬質レジンは切歯や犬歯までは保険が適用されます。
ジャケット冠
金属を全くあるいはほとんど使わずに、歯と同じ色の硬質レジン、セラミックス、ハイブリッド型レジンのみで冠を作り、金属色をまったく見せずにより審美的に修復する方法。セラミックスやハイブリッド型レジンは保険適用外。
クラウンの手入れ
クラウンは他の自分の歯と同じように歯磨きやフロスにより手入れします。クラウン自体は金属やセラミックスなのでむし歯になりませんが、クラウンと隣の歯の間や、クラウンの縁の部分にプラーク(細菌のかたまり)がたまるとそこからむし歯や歯周病の原因となります。
クラウンブリッジ部分入れ歯総入れ歯インプラントホワイトニング顎義歯
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ブリッジとは
両脇の歯を土台に、人工の歯を橋のように架ける
歯が1~2本なくなった場合、なくなった両脇の歯がしっかりしている時に、両脇の歯を支えとして人工の歯を橋のように架けるものをブリッジと言います。歯の根(歯根)がしっかりしていれば、歯根に土台(金属などで製作します)をたてて、冠をかぶせるために型をとり、ブリッジを造ってセメントでつけます。
治療方法
ブリッジの治療の流れは、おおよそ以下のようなものとなります。1回目の治療では、口の中のおおよその型をとって、石膏模型を製作して、この模型の上で適切なブリッジの設計を考えます。2回目には、無くなった歯の両脇の歯を削り、最終的な型をとり、かみ合わせを記録します。3回目に、ブリッジが完成して、口腔内でかみ合わせのかたちや最終調整の後にセメント(接着剤)でつけます。歯根のみが残っており、金属などで土台を製作しなければならない場合には、土台のための治療(支台築造)が1回増えます。さらに、複雑な場合や歯の色を検討しなければならない場合には、完成する前に一度、試適というステップが入ります。

むし歯や歯周病の進行状態によっては、ブリッジができない場合もあり、その場合には取り外しのできる入れ歯などを製作することがあります。治療方法については、担当の歯科医師とよくご相談して下さい。

歯根に金属の土台をつけた
両脇の歯
  ブリッジの付けたところ。
前歯なので歯の色をした
材料で金属を覆っている。
奥歯では
前歯では
   
裏は?
   
ブリッジ治療費
ブリッジの治療には、保険診療と保険が適用されない保険外診療があります。保険診療の場合には、保険で決められている材料を使用します。保険外診療の場合には、そのような制限はありません。例えば、歯の色をつくる材料としては、保険では樹脂材料(コンポジットレジン)を用いますが、保険外ではセラミックス(陶器)を用いることができます。
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部分入れ歯とは
幾本かなくなった歯やなくなった骨の一部を補い、形態や見た目の不良を回復するための入れ歯。
部分入れ歯は、生まれつき歯が少なくて隙間が広く開いていたり、むし歯や歯周病、あるいは事故、手術などで歯や骨の一部がなくなった場合、そのなくなったところを補う装置のことです。これによって、形態や見た目の不良を回復し、食事やしゃべりやすさを改善します。
治療方法
この入れ歯の治療手順は総入れ歯の手順とほぼ同様です(総入れ歯の制作手順をみて下さい)。しかし、残っている歯にむし歯や歯周病がある場合には、まずその治療を先に行ってから部分入れ歯の治療に入ります。
部分入れ歯の適応
1~2本の歯がなくなった場合には、両脇の歯を支えとして、異物感が少なく自然観のあるブリッジによる治療が可能ですが、支えになる歯が片側にしかない場合や多数の歯が失われている場合、歯があった骨の部分が広い範囲で失われている場合は、部分入れ歯の治療の適応となります。

部分入れ歯はどうしても異物感があって馴染めないとか、入れ歯は嫌だといわれる方にはインプラントを選択することも可能です(インプラントの項をみて下さい)。

部分入れ歯の構成
部分入れ歯は,患者さんが取りはずして手入れができるようになっていますが,食事中に沈み込んだり浮き上がったり,会話中にはずれてしまっては困ります.そこで,入れ歯には残っている歯に引っかけるためのバネ(支台装置・しだいそうち)が組み込まれています(写真1).そのほか,歯の抜けた部分に対してその歯の代わりをする人工歯(じんこうし),歯の抜けた土手や歯ぐきを補うピンク色のプラスチックでできた義歯床(ぎししょう),歯の抜けた部分が離れたところに2ヶ所以上ある場合に両方をつなぎ入れ歯を一体化する連結子(れんけつし)などがあります。これらにより、部分入れ歯はできています.
治療費
保険適用と保険外適用の自費診療とに分かれます。

保険適用では、保険の種類、入れ歯の大部分を構成する「レジン床」と呼ばれるプラスチックの樹脂の種類、また歯の欠損数によっても費用は異なります。

保険外適用では金属の種類(金合金、特殊合金、チタン合金など)や歯の欠損数、また各診療所によっても費用は多少異なります。必ず、事前に説明を聞いて下さい

入れ歯には"慣れ"が必要です。今までに入れ歯を使用されていた方は、新しい入れ歯になっても比較的スムーズに移行できます。しかし、初めて入れ歯を使用される場合は、うまく使いこなすのにある程度の期間が必要です。 少しでも不具合な点があれば、早めに担当医を訪れるのが慣れへの近道です。
 
部分入れ歯はある一定方向からしか口の中に入れることができません。適当に無理矢理押し込もうとするとバネが変形したり、折れたりします。噛んで入れ歯を押し込むようなことはせず、指を使って確実に支えの歯に合わせるようにして下さい。はずす際には、バネの部分に爪を引っかければ比較的楽に行えます。

入れ歯は、寝るときにははずすようにしましょう。ただし、かみ合わせの状況によっては、夜間も入れ歯が必要な場合もあるので、担当医の指示に従って下さい。はずした入れ歯は、コップやプラスチック容器などに入れ歯洗浄剤を入れて、その中に保存して下さい。

手入れ
入れ歯を清掃する際には、誤って落としても壊れないように洗面器に水を少し張り、その上で行います。専用の入れ歯用ブラシを用いると効果的に清掃できます(写真13、14)。ただし、歯磨き剤は使用しないでください。毎日、入れ歯洗浄剤を用いると洗浄効果が高まります。必ず先にブラシで汚れを取り除いてから、この洗浄液につけるようにしましょう。
写真13 写真14
部分入れ歯の場合にはバネのかかっている歯、残っている歯の周り、入れ歯との境目にプラークがたまりやすいので注意して磨きましょう(写真15、16)。
写真15 写真16
最後に
入れ歯を入れたら、半年に1度は担当医を訪れて、入れ歯や残っている歯の定期的なチェックをしてもらいましょう。患者さんご自身では気付かなくても、専門家の目からは調整、修理が必要な箇所が見つかる場合があります。いつまでも健康な口腔環境と、快適な食生活を保つ秘訣です。
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総入れ歯とは
上顎または下顎の歯をすべて失った場合の入れ歯。
人間の歯は、親知らず(第3大臼歯)を含めると、上下左右全部で32本あります。これらが何らかの原因で抜けていき、歯が1本も無い人を無歯顎者と呼びます。無歯顎者が食べたり話したりする機能を回復するために、口の中へ入れる人工の装置を総入れ歯と呼びます。総入れ歯を装着することによって、QOLが向上します。
治療方法
【1回目】口腔内診査:医療面接
まず、最初に口の中の診査を行い、どのような方法で入れ歯を作るのが良いかを調べ、治療の予定をたてます。簡単な型採りをすることもあり。
【2回目】型採り:印象採得
トレーと呼ばれる、枠を用いてお口の中の精密な型採りを行います。時間のかかる作業です。
【3回目】噛み合わせの記録:咬合採得
咬合床(こうごうしょう)と呼ばれるロウで出来た器材を使って、上下の噛み合わせを採ります。上下・前後・左右の高さを決めるわけです。
【4回目】試し入れ:試適
ロウで出来た入れ歯を口の中に入れて、歯の色や形、並び具合や噛み合わせ等をチェックします。
【5回目】完成:装着
出来上がった入れ歯を調整し、口に入れます。この後、調整期間に入ります。
総入れ歯の種類
総入れ歯は、歯ぐきを作る材料によって大きく2つに分けられます.レジンと呼ばれるプラスチックの樹脂で出来たもの(健康保険適用)と、チタン等の金属で出来たもの(一部保険からの負担あり)です。金属の入れ歯は、薄く温度感覚に優れているので、装着感が良好です。また、壊れにくいという特徴もあります。
 
金属床(きんぞくしょう) レジン床(しょう)
造った後の注意事項
痛いところがあれば、来院時に調整を行います。難しい顎の場合にはかなりの回数通ってもらうこともあります。新しい道具(入れ歯)に慣れるまではどうしても時間がかかりますので、はじめから何でも食べられるというわけにはなかなかいきません。

また、新しい入れ歯に口の筋肉が戸惑ってしまって、変に緊張したりすると口元もおかしくなることがあります。1週間ほどは変化を観察しながら調整していくことが重要ですので、その間は柔らかい物や小さく切ったものを召し上がるようにして下さい。慣れてきたら徐々に堅い物や大きめのものを食べてみましょう。合わないからといってご自分で削ったり足したりすることは絶対にやめて下さい。入れ歯が台なしになってしまいます。調整は必ず先生にやってもらうようにしましょう。

食後は入れ歯の内面や外側に食べかすが溜まります。その食べカスをそのままにしておくと、細菌によって入れ歯の内側の歯ぐきが炎症をおこしてしまうので、原則として毎食後入れ歯をはずしてお掃除が必要です。入れ歯本体は歯磨き粉をつけずに水をかけながら歯ブラシや入れ歯用ブラシを使って食べかすを洗い流して下さい。入れ歯専用の歯磨き粉を使っても結構です。また、洗うときには入れ歯を落としても壊れないように、下に洗面器やボウルなどの容器に水をはっておきましょう。

寝る時は原則として、入れ歯をはずしてください。歯ぐきが休まらず「あたり」が出てしまう恐れがあります。また、その時は容器に水をいれて保管して下さい。入れ歯は乾燥すると変形、変色したり、ひび割れがおこることもあります。保管容器に市販の入れ歯洗浄剤を入れると、入れ歯の臭いや細菌、茶渋、タバコのヤニなどを落とすのに効果があります。
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インプラントとは
金属を埋め込んだ人工歯根の上に人工の歯をつくる。
人工歯根とも呼ばれ、歯がなくなったところの骨に主にチタンなどの金属を埋め込み、その上に人工の歯を作る方法です。インプラントの埋め込みには外科手術が、また骨としっかりくっつくためには期間が必要です。顎の骨の量が十分にあること、骨の質に問題がないこと、骨粗鬆症や糖尿病などの全身的な問題がないことが前提になります。
部分入れ歯の代わりのインプラント
左下の奥歯が2本なくなった口の中(写真1、2)とそのレントゲン写真(写真3)です。
写真1 写真2 写真3
これまでの治療では歯がなくなった場合、主として部分入れ歯が入れられてきました。しかし、部分入れ歯ではばねで歯に固定するため、入れ歯が動く、口の中が変、食事が旨くないなどの訴える方もおられます。インプラントは、差し歯と同じように骨に埋め込んだインプラントに冠をかぶせるため、自分の歯と同じように食事をすることができます。
写真4
インプラントを下あごの中に埋め込んだレントゲン写真(写真4)です。一般的にはこの状態で下あごでは3ヵ月前後、上のあごでは6ヵ月前後、骨とインプラントをなじませるためにそのままおいておきます。その後、インプラントの上の歯茎を切ってインプラントの頭の部分を露出させ、それに土台をつけます。そして土台の上に冠をかぶせます(写真5、6)。
写真5 写真6
ブリッジの代わりのインプラント
前歯1本がなくなった口の中(写真7)とレントゲン写真(写真8)です。従来の方法では両隣りの歯を削って、ブリッジをかぶせていました。しかし、この方法ではむし歯のない歯を2本も削らなくてはなりません。
写真7 写真8

歯のない部分にインプラントを埋め込んだところのレントゲン写真(写真11)と、その上に冠をとりつけたところです(写真12)。見た目も自分の歯と同じように見えます。

※インプラントはむし歯にはなりませんが、歯周病と同じような状態になることがあり、クラウンや入れ歯と同じように定期的な歯科医師によるチェックが必要です。なお、この治療はどの歯科医院でも行っているわけではありませんので、かかりつけの歯科医師とよくご相談下さい。

写真11 写真12
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ホワイトニング
着色・変色によってくすんだ歯を、白い歯に戻すこと
 
処置方法
原因 着色 嗜好品(コーヒー、タバコ) 薬剤(銀化合物、カドミウム、鉄など) 変色 加齢 う触(むし歯) 治療後の歯牙や材料の変色 全身疾患 ・先天性疾患(エナメル・形質形成不全、梅毒など)・薬剤などの副作用(フッ素、テトラサイクリンなど)・伝染性疾患(発疹チフス、コレラなど)
処理法
クリーニング
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)プロ(歯科衛生士)による専門器具を使った歯磨き
ブリーチング(漂白)
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning.)歯を削らずに漂白することで、歯を白くする方法
充填処置
歯の実質欠陥部に白い材料の詰め物をする方法
補綴処置
歯の部分もしくは全体に白い冠をかぶせる方法
ラミネートベニア
クラウン
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顎義歯とは
口の中や顎に残った傷(欠損)を人工的に補填。
怪我や炎症、あるいは腫瘍の切除手術などが原因で、口の中や顎に大きく傷が遺ることがあります。この傷(欠損)の部位や大きさによっては、噛むこと(咀嚼)、飲み込むこと(嚥下)、あるいは話すこと(発音・構音)などに機能障害を生じます。この傷を人工的に補填し、機能を改善するための特殊な入れ歯(義歯)を、顎義歯あるいは顎補綴(がくほてつ)装置といいます。
顎義歯の補綴例

顎義歯は通常の入れ歯(義歯)よりも大きく、また口の形態が不整形のため、顎義歯の維持・安定は難しいことが多いです。維持・安定の向上のために、最近ではインプラントが用いられることがあります。

ところで、機能回復のためにはこれら顎義歯を作製し装着するだけでなく、積極的な機能訓練(リハビリテーション)が必要です。とくに舌やのどの奥(軟口蓋)に運動障害が遺る場合、いろいろな補助装置や訓練装置を用いて(写真1-5)、専門的訓練を行うことがあります。

舌切除の場合の顎補綴(がくほてつ)例
写真1 舌の動きを印記して   写真2 厚みのある義歯に
軟口蓋に運動障害がある場合の顎補綴(がくほてつ)例
写真3
写真4
写真5

また、顎義歯と同様、顔面に残った傷を人工的に補うこともできます。部分的なお面のような装置で、エピテーゼといいます(写真13)。主要な材料はシリコーン樹脂です。エピテーゼの固定はとても難しいため、最近では固定にインプラントが応用されることがあります。

これらの装置は総称して顎顔面補綴(ほてつ)(装置)といいます。この顎顔面補綴(ほてつ)治療は一般歯科医院では行っていないことが多いので、関心のある方は大学病院歯科(補綴(ほてつ)科)などへご相談下さい。